処刑室と書かれたその部屋に入ると
何の装飾も無い殺風景な部屋の中央に
見た事も無いような冷たい光を放つ機械が用意されていた
２重構造になっているのだろうか黒いフレームに囲まれた中央部には
２本の刀が垂直に刃を上向きにして台座に固定されていた
すらっとした長さ９０ｃｍはあろうかと思われる刀は
むき出しの刃をギラリと光らせまるで次の生贄を待っている様に見えて
少し寒気がした
その２本の刀はリフト状の物に乗せられていて高さを自由に調節出来る
構造になっている様だ
黒いフレームにまたがる様に私の身体は四つん這いに固定された
両手首と足首はそれぞれフレームに縛りつけられて
胴体は鎖で固定された
刃先は丁度固定されたセーラー服姿の私の胸のリボンとお臍の辺りに狙いを
定めている位置に有った
このままリフトが上がって来たら身体を完全に固定されている私には逃げる術が無い
程なく当然の様にリフトは情け容赦なく上がり始める
絶望感が漂う
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刃先が身体に触った
刀の刃先はまずスカートやリボンを刺し貫く
まるで電撃が走ったかのような痛みが胸元と腹の２ヵ所同時に発生する
精一杯手足を伸ばして抵抗するがリフトは一定の速さで上昇する
急激にではないが次第に圧力が加われていく
それでも最初の数秒間は胸板とお臍を押される痛みが激しくなるばかりで
なかなか刺さる事はなかった
むしろ痛みを激しくする為に切先の鋭さをわざと落として有った様だ
悪夢の数秒間が続く
−どうしてこんな目にあうの？−
セーラー服姿の女子高生が固定された身体を２本の刀で
まさに串刺しにされる瞬間が
見ている者達にとってどれだけ刺激的なのかは 処刑される側には想像も
できない事だろう 苦しみ方が激しければ激しい程に見る側には快感なのだ
「だめぇ！ 本当に刺さっちゃう！！」
叫びは空しく四角い無機質な部屋に響き渡る
いよいよ身体が刀の刃先の鋭さに耐えかねてぶちぶちという
聴いた事の無い嫌な音と共に刀がくいこみ始めた
同時に今まで耐えていた痛みとはあきらかに違う痛みが
身体の２ヵ所に走る
それは冷たい感触だった
身体の中に冷たくて平たくて硬い物が侵入してくる痛みだ
滑らかな刃の表面が周辺の皮膚を引っ張り込もうとする
身体の２ヵ所で 刺さっている１点を中心に放射状に痛みが広がる
刀の１本は正確に心臓をもう１本は小腸を貫いた
心臓の鼓動に合わせて刀を血がしたたり落ちる
刀で貫かれても心臓はその機能を急に止める事は無かった
無機質な刃はいま確実に私の身体の一部分となっていた
尚も上昇を続ける刀痛みが背中まで達した
自分の目で確かめる事はできないが
自分の身体が刀で完全に貫かれている状態なのは確認するまでもなかった
セーラー服の背中からは血にどっぷり濡れた刃先が１０ｃｍ程突き出ていた
その根元から湧き出る血がじわりじわりとセーラー服を赤く染める
もがけばもがくほど傷口が痛み出血がひどくなるばかりだ
即死はしなかったがこの状態では死んだ方がましなのかも知れない
刀は私の着ているセーラー服の丁度リボンの所とお臍を貫いている
少しななめに貫いているからか背骨には刺さらなかった様だ
固定具ははずされたが尚も上がり続けるリフトによって
刀の中央位の高さで身体は宙に持ち上げられる
もはや手足は身体を支える事もなくぶら下がっているだけだった
手足を動かす力がまるで入らない
頭を上げる事もできず嫌がおうにも胸と腹に刺さった刀と
だらしなくたれ下がる手脚が視界に入る
身体全体の感触がもはや串刺しになって死んでしまった人間の
亡きがらの状態を示していた
唯意識と痛みだけがはっきりと自分がまだ生きている事を示していた
奇妙な事に身体を貫かれているという事実と痛みさえなければ
全身の力をすべて抜いて宙に浮いている感触は心地良ささえ感じられた
不思議と恐怖感は無かった
リフトはいつのまにか停止していた
私はどうしてこんな事になっているのか理解できないまま
何の抵抗もできないままやがて訪れる死を受け入れるしかなかった